「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」を観て考えたこと

 

「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」

 

★★★★☆

 

監督 ジャン=マルク・ヴァレ(ダラスバイヤーズクラブと同じひと)
公開 2015年
キャスト ジェイク・ギレンホール(デイヴィス)
ナオミ・ワッツ(カレンモレノ

 

 

鑑賞後、1週間ひきずった映画である。
 
「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」なんてタイトルに釣られ、恋愛映画を期待して見ると肩透かしを食らう。

「停職破壊おじさんのハチャメチャ解体ショー」って邦題の方が相応しいのではないかと思ったが、ちゃんと原題は「Demolition」(破壊)だったので納得。

 

伏線はたくさんあるが、見逃してしまう程一瞬なのでヒヤヒヤする。

サンバイザーから付箋を引っ剥がすシーンを見落としてしまったので一回目の鑑賞のときにラストが理解できなかったのは悔しい。

 

デイヴィスが物を壊しまくってゆく過程を観て、何となく「悲しくないとかいいつつも自覚しないまま狂ってるんだなぁ」と思ってしまったが、本当はそうではなくて、自分の心の問いかけに直感的に行動していただけなのだろう。

 

自分がどれほど周りの人から大切に思われてるか分からぬまま死んでゆく。

 

デイヴィスはその逆である。自分を愛してくれている人が亡くなったのに、その存在に気づかなかった。

 

あまつさえ、自分を心配してくれている義父のフィルを邪魔に思うなんて、どれほど愚かなのだろう。

 

しかし最後は、愛してくれた人が確かにそこに居たのだということに気付くことが出来て本当に良かったと思う。気高い事だと思う。

 

 

偏見だが、男性と女性で感想が変わる映画だと思った。実際私はデイヴィスの無関心さにイライラしたし、男性はジュリアが浮気する気持ちがきっと飲み込めないだろう。偏見だが。

 

しかし、1週間かけてじわじわとデイヴィスの気持ちが分かった。

これは恋愛に限ったことじゃない。家族や友人に目を向けてみる。

いつも風邪を引かないようにと注意してくる父を鬱陶しがる私はデイヴィスと同じじゃないか。

 

 

自分が愛される程魅力のある人間だとは思わないが、誰の人生に何の影響も与えずに死んでゆく、そんな投げやりな考えを改めて見ようと、この映画を観て思った。生きている以上は人と関わるのだから。

 

 

サントラも最高なので是非聴いてほしい。
クレ〜イジ〜オンユ〜♪